汗の役割

 こんにちは、東望大久保医院の大久保 仁です。

 連日のお天気で、熱中症で救急車搬送の数が多いと聞いています。

 ところで、通常、我々は「汗かいたらタオルで拭く」行為は誰でも普通にやっていることと思います。

 汗腺にはエクリン汗腺(エクリン腺)とアポクリン汗腺(アポクリン腺)の2つの汗腺があります。その機能は、エクリン腺は純粋に汗を出すことで体温を下げる役割の汗腺で、アポクリン腺は元々は匂いなどを出すもので動物などはマーキングとかなんとかに有用でしょうが、人間ではその本来の役割は低下していると思います。わきがなどはこのアポクリン腺から出るアルカリ性の汗の中に混じる脂質や蛋白質などを皮膚常在菌が分解するときに出る匂いが、一部の人には疾患として捉えられています。

 一方、エクリン腺から分泌される汗は酸性で純粋な水であり、それにナトリウムなどの電解質が溶けています。せっかく、体が体温を下げるために汗をかいてもそれを乾いたタオルで拭き取ってしまうと本来の体温を下げる役割を果たせなくなってしまいます。

 猫は前後肢の肉球部分にしか汗を出す機能を持つエクリン腺が確かなかったような。犬は狼などから進化しており、元々寒いところに住んでいたので、汗をかく機能が未発達です。そのため、舌を出してハアハアして体温を下げていますよね。汗腺による体温調節機能もいろんな生物の進化?、種の分化の過程で得られたものなんでしょう。

 でも、流れ出る汗をそのままにしておくのは気持ち悪いものです。タオルで拭いたらだめ、って言われてもね。どうしたらいいのでしょうか?。

 数年前からスポーツ店に行くとボトル内に、常に濡れたタオルのようなものが販売されましたよね。タオルにしてはちょっとお高いですが。

 タオルを濡らして汗を拭く、ってのがとりあえず安上がりで理にかなった方法です。汗の機能を考えるならば、濡れたタオルで汗を拭く(厳密にいうと汗を水で薄める)ことで水で肌に水分を補い、その水分が蒸発することで体温を下げる、という仕組みですね。

 スポーツ店のタオルは少々お高いですが、だてに開発されてないんですね。