かぜ症候群について

4月から実家に戻り、1ヶ月ちょっとの駆け出し「まち医者」として、次男のかぜ症状(咳が止まらない)をきっかけに、去年の3月に「抗菌薬適正使用マニュアル」が出ていたことを意識して、〜「かぜ症候群」のエビデンスに基づいた診断・治療〜について検討してみました。これまで当直などで「かぜ症候群」の患者さんに対してそれなりに診断、治療をしてきたわけですが、エビデンスというものをそれほどきちんと確認していなかったなあと反省しました。

「かぜ症候群」に関するエビデンスは十分に存在するわけではありませんが、「かぜ症候群」の多くがウイルスの感染によって生じているとの疫学的事実はエビデンスとして十分ですし、自分でも意識してきたつもりでした。にもかかわらず、実臨床では、「念のため」抗菌薬を投与していたこともあるのでは?、とのことから「抗菌薬適正使用マニュアル」を再度詳しく読み直してみました。さらに、咳嗽に関するガイドライン第2版を参照し、私なりに「エビデンスに基づいた『かぜ』の診断と治療」のマニュアルを作成してみました。

やはり、「かぜ症候群」の鼻水、咽頭痛、咳、痰などの症状が、「かぜ」とは異なる気道感染症や呼吸器疾患、さらに耳鼻咽喉科領域の感染症やアレルギー疾患との鑑別が難しいものもあるため、病歴をきちんととる、から始まり、各症状の期間、実際の診察所見、鑑別すべき診断をきちんと挙げる、かつ、治療については患者さんごとに治療の「リスク」と「ベネフィット」を考える、などこれまでやってきた、救急医療、消化器がん診療、乳がん治療、内分泌疾患の治療と同じことをきちんとやればいいのだ、と再確認しました。

個人的には、乳がん治療でも「漢方薬」が患者さんに有効だった症例が少なからずありましたし、母が婦人科の医師で「漢方」にも詳しいことから、これまでの婦人科疾患の漢方薬使用の経験に加えて、かぜ症候群(「かぜ症候群に対する漢方治療は、対症療法としてでなく根本治療としても良い適応と考えるので)に関する漢方治療についても学んで行きたいと考えています。