若年性乳がん

 こんにちは、東望大久保医院の大久保 仁です。

 今朝のニュースで転移性乳がんで闘病中の小林麻央さんがお亡くなりになられたとの報道がありました。小林さんのご冥福をお祈り申しあげます。

 35歳未満と定義されている若年性乳がんは、一般的に再発リスクが高く、予後不良な乳がんと認識されています。しかし、最近の研究では、こ年齢は必ずしも予後不良因子に当たらないとの見解も出されています。

 遺伝性乳がんの一つであるBRCA1/2遺伝子変異の乳がんは生物学的悪性度の高いトリプルネガティブ乳がんが多い、両側乳がんが多い(同時性・異時性発生も多い)、若年発症が多いなどの特徴を有しますので、この若年性乳がんの一部分を占めているでしょうし、また、この年代の女性特有の結婚、出産、妊娠などのライフイベントにも十分に配慮して治療にあたる必要があると思います。

 診断においては、妊娠前後の乳房は乳腺の発達により腫瘍がもし、それ以前に存在していたとしても画像的に診断しにくくなる可能性は高くなると思います。良性の乳腺腫瘍でこの年齢によく見られる頻度の多い線維腺腫は女性ホルモンの影響で大きくなることがある腫瘍です。線維腺腫自体はその後、乳がんになることはありません。以前に組織診断まで行われ、確実に診断がついている例ではそこに後で乳がんが見つかる、ということはまずないでしょうが(でも、以前、線維腺腫の組織診断がなされていたそのすぐ隣から発生していた乳がんの症例は経験したことがありますが)、超音波検査だけで線維腺腫と言われていたものの中に実は乳がんが混じっている可能性は否定できません。

 よって、私は、明らかに画像診断で線維腺腫と思われても妊娠されている方では、どの程度、その腫瘍を気にしているか(もしくは気にしていないか)などをお聞きした上で、必ず、3〜6ヶ月のうちでその腫瘍のサイズや形状をもう一度確認するようにしています。