慢性胃炎と機能性ディスペプシア

 こんにちは。東望大久保医院の大久保 仁です。ブログが医療のことに偏り、やや堅苦しいのではないかと思ったりしていますが、月曜日に書きかけていて、急に患者さんが来られ途中で書きやめていたので、今回、それを載せることにしました。ご勘弁ください。

 梅雨入りとの報告とはうらはらに、お天気が続いています。気持ちのいい晴れ空は嬉しい反面、作物の生育にはこの季節、雨が少ないのは心配にもなりますね。

 胃部不快感を症状としてこられた方がいました。まだ特に高血圧症や糖尿病などの成人病はない方でしたし、上腹部の症状も明らかな痛みというよりも朝方の不快感、胸焼けはひどくない、なんとなく食べたものが降りていかない感じとのことでした。

 このような疾患として、昔からよく慢性胃炎と保険病名をつけて、「とりあえず」いくつかの胃薬の中からみつくろって処方する(胃潰瘍の薬であるガスターなども使用していましたが、近年は胃カメラなどで胃潰瘍の診断が得られないと保険診療では認められにくい)ことをやっていました(私は嫌いでしす)。確かに、それはそれで、患者さんの症状が取れることもあり、結果オーライになることもあります。しかし、私はこのような症状をきたす疾患として、やはり50歳以上の方では胃がんを見落としたくないですし、胆石、膵臓疾患もきちんと否定しておきたい、と思い診療をしてきました。消化器を専門にして来ますと、そのような系統的な診断を怠ったために経過が良くなかった患者さんを多く見てきましたので、やはり系統的な診断過程が重要と思っています。

 このような症状を示す疾患として機能性ディスペプシアという疾患があります。胃などの上部消化管にカメラで見ても潰瘍などがないにもかかわらず、腹痛などが生じる疾患で、消化管運動機能などに問題がある場合が多いです。消化管の運動機能障害としての類似疾患として過敏性腸症候群などもあります。随分前から病気の名前はあるのですが、なかなか馴染みとなっていない病気です。

 胃やその周辺と思われる部位の症状を呈する人で、これまで胃カメラを飲んだことがない人には、胃カメラを1度はおすすめ(しかし、多くの人が飲むときにきつい、もしくはきついだろうということで同意する人は少ない、もし飲むという人がいればその人は胃がんを恐れている人が多い)しています。

 現在、クリニックではまだ内視鏡検査ができない現実があり、歯がゆい思いをしています。この方には症状を軽減させるお薬を1週間くらいまず出してみて、「症状の経過を見て、胃カメラが必要かどうか検討しましょう。」とお話をさせていただきました。